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内定辞退

内定辞退とは

内定辞退とは、候補者が内定先企業に対し、内定承諾書を提出せずに内定を辞退することを指す。一方、候補者が内定承諾書を提出した後に、候補者側の都合によって内定を辞退することは「内定承諾後辞退」である。

「内定辞退」と「内定承諾後辞退」の法的リスク

上記で説明した「内定辞退」と「内定承諾後辞退」では、法律上においても意味合いが大きく異なる。
まず候補者が企業からの内定を「承諾」すると、その時点で「就労始期付解約権留保付労働契約」が成立するという考え方が判例上確立されている。(※「内々定」承諾の場合は、判例上この労働契約は成立しないとされるため注意)そのため、「内定承諾後辞退」は法律上内定者側の「解約権」行使に該当し、内定者による労働契約の解約となるが、内定を承諾する前に辞退を申し出る場合は、労働契約が成立する前であるため、法的拘束力はない。ただし内定承諾後辞退でも、民法第627条で「期間の定めのない雇用における労働契約を解約する場合は、雇用は解約申し入れの日から2週間後に終了する」と定められており、入社2週間前までに辞退すれば法律上は認められる。よって、内定者側にとっては内定承諾前後どちらにおいても辞退することに強い法的拘束力は実質ないといえる。とは言え、内定承諾後の辞退は企業からの印象は悪くなるほか、企業側も入社準備等をすでに進めている可能性が高く与える影響が大きいため、よほどの事情がない限り、辞退が決まり次第速やかに連絡すべきである。

近年の内定辞退の傾向

24卒新卒採用においては、候補者が複数の企業から内定を取得する割合は63.9%となっており、直近3年間(22~24卒)においてはほぼ横ばいである。それに伴い内定辞退している候補者の割合も同様の傾向である。内定承諾企業数においては、2社以上と答えた候補者の割合は1.6%であり、内定承諾後の辞退は少ないが一定数発生しているケースとみられる。(※参考:株式会社リクルート 就職プロセス調査(2024年卒)「2023年12月1日時点 内定状況」)2023年の中途採用においては、内定辞退率は1割程度であり、直近3年間も同様の傾向である。新卒採用と比較し中途採用の内定辞退率が低いのは、短期間で選考を終えることが多く、内定から入社まで比較的スムーズに運ぶケースが多いことが主な要因の一つと考えられる。(※参考:株式会社マイナビ 中途採用状況調査2024年版(2023年実績))

なぜ「内定辞退」するのか

株式会社インタツアーの調査によると、内定通知後に辞退する理由としては、「より志望度の高い企業の内定を得た」「理想とのギャップ、社風が合わないと感じた」ケースが多いとみられる。ここで興味深いのは「検討の余地もなくすぐに選考・内定を辞退する決定的要因」として「面接官の印象が悪い」という、主な辞退理由回答としては少ない内容が挙がっている点である。これについては、採用過程の時点ですでに志望度が下がっていたが、表面上の回答としては「他社から内定をもらった」といった候補者の“本音と建前”が伺える。(※参考:株式会社インタツアー『23・24卒生対象 内定承諾・辞退の決定要因調査』2023年1月実施)この傾向は、昨今社会問題となっている「オワハラ」とも関係があるといえる。「オワハラ」とは、「就活終われハラスメント」の略で、企業が内々定を出した学生に、就職活動の終了を迫る行為や、内定を出す条件として長期的に学生を拘束する行為を指す。内定辞退を防ぎたい企業側のこういった対応が、むしろ候補者の内定辞退における決定的要素となり、SNSや口コミで拡散されれば企業イメージ悪化にもつながりかねない。

内定辞退を防ぐためのポイント

内定辞退の対策をするにはまず「内定者心理をよく知る」ことが重要である。内定辞退する候補者は、辞退の連絡をする時に本当の理由を話すとは限らないため、様々な会社が実施している調査やこれまでの事例を参考に、リソースやコスト面も考慮し自社が優先的に改善すべき点を見極めたうえで施策を打つ必要がある。「条件が合わない、他社に魅力を感じた」ケースであれば、待遇の改善以外にも福利厚生なども含めた自社のアピールの仕方、待遇面は候補者の関心に合わせて伝えるなどコミュニケーションの工夫もできる。また、「社風が合わないと感じた」ケースであれば、より社風を知ってもらえる機会や交流機会の創出が効果的かもしれない。実際、内定辞退対策として「内定者懇親会」や「社員面談」などに効果を実感した人事担当者が多いというデータもあり、これもあまりコストがかからないためすぐに実践できる改善策といえる。(※参考:マイナビ2024年卒企業新卒採用活動調査)

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