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ハラスメント

ハラスメントの語源

ハラスメントとは、英語の「harassment(嫌がらせ)」に由来し、その起源は古フランス語の「harer(獲物を追いかける)」にまで遡る。元々は獲物を追いかけ回すことから転じて、人間関係において相手を追い詰めたり、苦しめたりする行為を指すようになった。ハラスメントの概念は、人権や倫理に関する問題として注目され、法的にも規制されるようになっている。

ハラスメントの特徴

ハラスメントの特徴は主に4点挙げられる。
1つめは、「ハラスメントの不適切さ」である。一般的な社会的規範や道徳に反する行為であるため、不適切さをもたらす。
2つめは、「ハラスメントの継続性」である。ハラスメントは一度発生したら終わりではなく、繰り返し行われることが多いことも特徴と言える。
3つめは、「パワーバランスの存在」である。ハラスメントが起きる原因として、加害者と被害者の間にパワーバランスが存在することが最も多くなっている。
4つめは、「被害者への影響の大きさ」である。ハラスメントによる被害者への影響は大きく、精神的・身体的なストレスや不快感を引き起こす原因となっている。

ハラスメントと似ている言葉

ハラスメントと似ている言葉として、「いじめ」や「差別」がある。ハラスメントは、「特定の個人に対する執拗な行為」を指す。一方で、いじめは「複数の人間関係において行われる広範囲な攻撃」を指し、差別は「特定の属性(性別、人種、宗教など)に基づいて不当な差別的な扱いをすること」を指す。「対象となる行動の範囲」、「行動の動機」という点で違いがある。但し、「他者に対して不適切な言動や行動を行う」「被害者に精神的・身体的な苦痛を与え、人間関係や仕事、学習などに悪影響を及ぼす」という点で共通しているため、排他的な関係ではない。

ハラスメントの実例

実例として、職場での、上司からの威圧的な態度や命令、いわゆる「パワーハラスメント」や職場での噂や陰口、いわゆる「モラルハラスメント」、性的な言動や行為による嫌がらせ、いわゆる「セクシャルハラスメント」などが挙げられる。

ハラスメントのメリット・デメリット

ハラスメントのメリットはほとんどない。
強いて言えば、加害者にとっては一時的な支配感や満足感を得られる可能性があることが挙げられる。一方、ハラスメントのデメリットとしては法的責任を問われるリスクや、信頼や尊敬を失う可能性がある。被害者にとっては、精神的・身体的な苦痛やストレスが生じ、仕事や生活に支障をきたす可能性がある。

ハラスメントがトレンドワードになっている理由は、社会全体での人権意識や倫理観の向上により、不当な行為や不快な状況に対する許容度が低くなっていることが挙げられる。また、SNSやインターネットの普及により、ハラスメントがより広く知れ渡るようになり、問題視されやすくなっている。最近では、飲み会でお酒を強要する「アルコールハラスメント」やカラオケで歌うことを強要する「カラオケハラスメント」、相手の行為に対してすぐにハラスメントだと決めつけて責める「ハラスメント・ハラスメント」などますますハラスメントに対する意識が高まっていると言える。

ハラスメントの防止には、組織や社会全体での啓発活動や教育が重要である。具体的な導入手順としては、以下のようなものが考えられる。
1つめは、「ポリシーの策定」である。ハラスメントを禁止するポリシーを明確にし、全従業員への周知を徹底する。
2つめは、「教育プログラムの実施」である。ハラスメントの定義や影響、防止方法についての教育プログラムを通じて社員への教育を実施する。
3つめは、「報告手順の確立」である。ハラスメントの被害に遭った場合の報告手順を明確にし、匿名で報告できる仕組みを整備する。
4つめは、「適切な対応」である。ハラスメントの報告があった場合には、適切な対応を行い、再発防止策を講じることが肝要となる。

実際に、各企業でハラスメントに対する対策の動きは高まっている。
ソニー銀行株式会社では、社員からハラスメントとは何か、という問い合わせを受けたことがきっかけとなり企業理念の基づく指針として、ハラスメント対策を整備し、「フェアである」「自由闊達で愉快な業務環境を整備する」を企業理念として掲げたという経緯がある。ハラスメントを重大な「人的リスク」として捉え、経営上のリスクの一つとして対策が必要だと位置づけ、オリジナルのコンプライアンスマニュアルを作成、配布し自らがハラスメントを行わないだけでなく、他人が行うことも許さないという姿勢を明示している。また、「職場の健康診断」というアンケートも実施している。セクハラ・パワハラ・メンタルヘルスに関する調査を定期的に行い、その結果をもとにした研修まで行う仕組みを設けていることも特徴と言える。

以上のような取り組みを通じて、個人だけでなく、企業・社会としても、ハラスメントの撲滅に努めることが肝要となる。

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