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ESG
ESGとは
ESGとは、企業の長期的成長に重要な3つの観点である「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(ガバナンス:企業統治)」の頭文字を取った言葉である。現在は一般的にこれらを考慮した投資活動(ESG投資)や経営・事業活動(ESG経営)を指す言葉として使われ、持続可能で豊かな社会の実現を目指す方法の1つとして、国内外で大きく広がっている。
ESGの考え方が広まった背景
「ESG」という言葉自体は、2006年に当時の国際連合事務総長のコフィー・アナン氏が金融業界へ提唱した「PRI(Principles for Responsible Investment:責任投資原則)」がきっかけで広まった。
PRIは、機関投資家(保険会社や信託銀行など法人の大口投資家)が受益者の長期的利益を守るためには、より持続可能な国際金融システムを作り、社会全体が豊かになるような利益追求が不可欠であり、そのための取り組みとして財務状況だけでなく「ESG」を考慮した投資判断を行っていく必要があるという考え方である。PRIに署名する投資家が増え「ESG投資」が普及してきており、「ESG」は中長期的なリターンを目指す上で投資家が将来の企業価値を測る重要な指針となっている。2007年のリーマンショックによって、行き過ぎた資本主義、短期の収益重視への反省、格差社会への批判の風潮がさらに高まったことも、ESGの考え方を広める後押しとなっている。逆を言えば、今後は「ESG」を軽視する企業は投資家や顧客等から評価されなくなっていくため、この観点で長期的成長と持続可能性を確保することによって市場価値を高める「ESG経営」が同時に注目され始め、企業にとって重要な株価対策の1つとなった。
ESG経営の取り組み例
・Environment(環境):気候変動、大気・海洋汚染などの環境問題解決へ向けた取り組み(CO2排出量削減、再生可能エネルギーの使用など)
・Social(社会):差別、人権問題、格差拡大、人口問題、労働問題解決へ向けた取り組み(女性管理職登用、障がい者雇用、労働環境改善など)
・Governance(ガバナンス):会社が透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みづくり(内部監査の実施、コンプライアンス委員会の設置など)
ESG経営の課題と推進のポイント
企業がESG経営を推進するうえでの課題は、主に以下が挙げられる。
・短期間では成果が出づらいため、中長期的な取り組みが前提となる
・ESGの評価機関は複数あり、評価基準も明確に定められていないため、正しい方向性を見極めにくい
このように手探りで時間がかかるESG経営を推進し、投資家に評価される状態をつくるには、やはりトップのコミットメントが不可欠である。そして、ESG評価指標を確認し、どのような取り組みが求められるのか、事例などをきちんと理解したうえで自社が取り組む重要課題を社内で十分に議論し、社内外に明確に示すことがまずは重要である。また課題対応へ向けた目標設定は具体的にKPI化し、アクションプランは経営戦略との連動性などストーリー立てて示すことがポイントになる。これに沿って実施結果も情報開示ができると、投資家は「言っていることとやっていること」の一致度を測ることができ、投資判断がしやすくなる。
まとめ
ESGは、投資判断に必要な3つの観点として世界的に広がり、「ESG投資」拡大に伴い企業側もESGに関連する取り組みやその情報開示を通して長期的成長と持続可能性を確保し市場価値を高めることが求められるようになったことで、持続可能な経営の考え方としても普及している。昨今「SDGs(持続可能な開発目標)」への取り組みも広がっているが、ESGはこれを達成するための手段ともいえる。「ESG経営」を通じて「SDGs」も達成でき、投資価値や企業価値が向上するため、「ESG」への取り組みは日本企業においても拡大傾向にある。
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