な行

ナッシュ均衡

  • ナッシュ均衡とは数学者ジョン・フォーブス・ナッシュによって考案された、ゲーム理論の非協力ゲームのモデルである。
  • ナッシュ均衡とは、プレイヤー全員が互いに最適の戦略を選択し、これ以上自らの戦略を変更する動機がない安定的な状態(均衡状態)になるような戦略の組み合わせのことをいう。
  • ナッシュ均衡のよい例として囚人のジレンマが挙げられる。
  • 囚人のジレンマとは個人の最適化を図ろうとした選択が、結果として全体の最適選択とはならないというゲーム理論のモデルである。
  • 例えば、同一の事件で逮捕された2人の囚人が、互いに意思疎通をできない牢獄にいるとする。そこで2人に対し、個別に提案を出される。「自白するれば司法取引により釈放されるが、もう1人も自白した場合は2人に懲役3年が科せられる。1人が自白し、もう1人が黙秘した場合、自白した者は釈放され、黙秘した者は懲役5年が科せられる。また両方が黙秘した場合は、懲役1年が科せられる。」
  • 自分にとって最適なのは、自分の自白と相手の黙秘によって釈放されることである。しかし、相手も自白してしまうと双方に3年の懲役が科せられる。その一方、もし自分黙秘し相手も黙秘した場合、双方が自白した場合の懲役3年より短い懲役1年となる。しかし相手が自白した場合、自分にとって懲役5年という最大不利益を被ってしまう。
  • 全体としてみれば、2人の囚人の黙秘による懲役1年が最適な選択であるのにも関わらず、自白をした場合自分にとって釈放という最適化があるため、自白か黙秘かの選択にジレンマが生じてしまう。
  • この囚人のジレンマゲームにおける、ナッシュ均衡は双方が自らの最適戦略を選択する、「双方自白」である。双方にとって自白により得られる釈放が個人の最適であり、懲役1年もしくは5年が科せられる黙秘の選択肢を選ぶ動機がない状態であるため、「双方自白」がナッシュ均衡となる。

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